【大阪】「有機農産物の供給が少なく商機があると考え、2017年に有機JAS認証を取得した」と話すのは、八尾市に本社を置く(株)東山ベジフル取締役の大西諒さん(37)だ。
同社は現在、鹿児島県でビーツを主力に春ニンジンなど約4ヘクタールを有機栽培し、八尾市では法人向けの体験有機農園約20アールを運営している。
「もちろん農業は鹿児島の方がやりやすい」と苦笑する大西さん。都市部では堆肥のにおいへの配慮も必要だ。だが、このままでは出身地である府内の農地がなくなると憂い「大阪の限られた農地でモノよりコトを、個人ではなく法人に売ろう」と体験農園を始めた。
体験農園の利用者は飲食店など3社。有機野菜をウリにするイタリア料理店では、栽培過程を学ぶ社員教育の場に活用されている。
有機農業が注目されていることについて大西さんは「基礎がきちんとしている慣行栽培の生産者こそ、有機栽培に取り組みやすい。まずは1畝からでも始めてほしい」と話す。
(田村慶)
全国農業新聞 2022年4月1日(金曜日)
発行:全国農業会議所